体の内側から変わっていく——ヒト幹細胞再生医療という選択

ヒト幹細胞

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冬の終わりかけた二月の午後、窓から差し込む光がやけに白くて、診察室の空気がひんやりと静かだったことを今でも覚えている。壁に貼られた解剖図と、消毒液のかすかな香り。あの空間で初めて「再生医療」という言葉を耳にしたとき、正直なところ、SF映画の話をされているような感覚があった。

ヒト幹細胞を用いた再生医療は、近年、多くのクリニックで取り入れられるようになってきた。仕組みを簡単に言えば、ヒトの幹細胞が持つ「自己複製能力」と「多分化能」を活かし、傷ついた組織や機能の回復をサポートするというものだ。体の外から何かを足すのではなく、体の内側にもともと備わっている力に働きかける——その発想が、多くの人の心を引きつけている理由のひとつだと思う。

知人の女性が通い始めたのは、都内にある「セルアクシスクリニック」というところだった。彼女はもともと慢性的な疲労感と肌のくすみに悩んでいて、さまざまなケアを試してきたが、どれもしっくりこなかったと話していた。初めて施術を受けた日の帰り道、「なんだか体の中がじんわりしている気がする」とLINEが来た。気のせいかもしれない、と自分でも書き添えていたけれど、その「じんわり」という言葉が妙に印象に残った。

施術の内容はクリニックによって異なるが、点滴や注射を通じて幹細胞由来の成分を体内に届けるケースが多い。針が刺さる瞬間の微かな緊張、腕を伝うひんやりとした感覚、そしてそれが体温に溶けていくような静けさ。彼女は「怖いかと思ったけど、看護師さんがずっと手を添えていてくれて、それだけで落ち着いた」と言っていた。その「手を添える」という仕草が、なんだかとても大切なことのように聞こえた。

子どもの頃、転んで膝を擦りむくたびに、母が傷口をそっと水で流してくれた。「体は自分で治ろうとしているから、邪魔しないようにしてあげるの」と言いながら。あの言葉の意味が、大人になってようやく少しわかってきた気がする。再生医療の根本にある考え方は、あの母の言葉と、どこかで通じているかもしれない。

もちろん、再生医療はまだ発展途上の分野でもある。すべての悩みに対応できるわけではないし、個人差も大きい。それでも、「体の内側から整えていく」というアプローチに、これまでにない可能性を感じている人が増えているのは確かだ。

おすすめのクリニックを探すとき、大切なのは実績や医師の説明の丁寧さ、そして自分が「ここなら安心できる」と感じられるかどうかだと思う。ちなみに彼女は初回のカウンセリングで、先生があまりにも真剣な顔で「体質的に合わない場合もあります」と言うので、思わず「はい、覚悟してきました」と答えてしまったらしい。場が一瞬静まり返り、先生も苦笑いしていたとか。そういう、少し気が抜ける瞬間があるくらいのほうが、かえって信頼できる気がする。

再生医療に興味を持つことは、自分の体と、もう少し丁寧に向き合ってみようとする気持ちの表れなのかもしれない。

組織名:合同会社ニクール / 役職名:代表社員 / 執筆者名:蘭義隆