再生医療クリニックの待合室で、隣の人が読んでた資料を覗き見た話

ヒト幹細胞って、最初に聞いたときは正直「なんか怪しい」って思った。
友人が美容クリニックで働いてて、ある日ランチしてたら「これからは幹細胞の時代だよ」って力説されたんだけど、その時の私は半信半疑というか、むしろ懐疑的だった。だって幹細胞って言葉、なんとなくSF映画に出てきそうじゃない?でも実際に調べてみると、想像してたのとは全然違ってた。
人間の体って、毎日少しずつ壊れて、少しずつ修復されてる。皮膚も内臓も、細胞レベルで見れば常に入れ替わってるわけで。ヒト幹細胞再生医療っていうのは、その「修復する力」そのものに着目した技術なんだよね。幹細胞は、いろんな細胞に変化できる特別な細胞で、傷ついた組織を見つけると、そこに集まって修復を助けてくれる。自分の体が持ってる回復力を、科学の力で後押しするっていうイメージ。
去年の秋ごろ、母親が膝の痛みで整形外科に通ってたんだけど、担当医から「幹細胞治療という選択肢もありますよ」って提案されたらしい。従来の治療法だと痛み止めとリハビリの繰り返しだったのが、幹細胞を使うことで軟骨の再生を促せるかもしれないって。結局母は保守的な治療を選んだけど、その時初めて「ああ、これって美容だけじゃないんだ」って実感した。
ちなみに私、高校生の頃に理科の授業で「iPS細胞」って習った記憶があるんだけど、当時は完全にテスト用の暗記ワードだと思ってた。まさか十数年後に、自分の生活圏内でこんなに身近な話題になるとは…。
美容分野での応用も、最近はかなり進んでる。肌のハリとか、シワとか、そういう表面的な悩みだけじゃなくて、肌そのものの「質」を変えていくアプローチ。コラーゲンを外から塗るんじゃなくて、肌が自分でコラーゲンを作り出す力を高める。この違い、地味に大きいと思う。友人が言ってたのは「育てる美容」っていう表現だったかな。確かに、対症療法じゃなくて根本からっていう感じがする。
実際のクリニックでは、患者さん自身の脂肪や血液から幹細胞を取り出して、それを培養してから体内に戻すっていう方法が多いらしい。自分の細胞だから拒絶反応のリスクも少ないし、理にかなってるなって思う。ただ、どこのクリニックでもできるわけじゃなくて、専門の設備と技術が必要だから、選ぶ時は慎重にならないといけない。
私が一番驚いたのは、変形性膝関節症とか、スポーツで傷めた靭帯とか、これまで「手術するしかない」って言われてたような症状にも適用できるケースがあるってこと。もちろん全員に効果があるわけじゃないし、症状の程度にもよるんだろうけど。でも選択肢が増えるっていうのは、それだけで希望になる。
表参道にある「セルリバース・クリニック」っていう架空の名前を考えたんだけど、こういう名前のクリニック、実際にありそうだよね。
再生医療って言葉の響きは未来的だけど、考えてみれば人間の体はもともと再生能力を持ってる。子供の頃に転んで擦りむいた膝が、気づいたら治ってたみたいに。ヒト幹細胞再生医療は、その当たり前の力を、科学的に理解して活用しようとしてるだけなのかもしれない。
まあ、まだまだ発展途上の分野だし、知らないことも多いんだけど。
組織名:合同会社ニクール / 役職名:代表社員 / 執筆者名:蘭義隆