鏡を見るたびに思い出す、母の手とヒト幹細胞の話

最近、朝の洗面所で自分の顔をまじまじと見ることが増えた。
目尻のシワとか、ほうれい線とか。別に気にしてないわけじゃないけど、かといって必死になるほどでもなくて。ただ、ふと母の顔を思い出すんだよね。母が50代のとき、同じように鏡の前で立ち止まっていた姿を。あのときは「お母さん、何やってんの」くらいにしか思ってなかったけど、今ならわかる気がする。
ヒト幹細胞っていう言葉を初めて聞いたのは、たぶん3年くらい前。美容クリニックのパンフレットだったかな。「幹細胞」って響きがなんだかSF映画みたいで、正直うさんくさいと思ってた。でも調べてみると、これが意外と理にかなってる。
人間の体って、細胞が日々入れ替わってるわけじゃん。で、その「元になる細胞」が幹細胞。再生医療の分野では、この幹細胞を使って、傷ついた組織や老化した部分にアプローチしていくらしい。要するに、体が本来持ってる「修復する力」を引き出すみたいなイメージ。外から何かを足すんじゃなくて、内側から働きかける感じ。
そういえば去年の夏、友達が膝の治療でクリニック行ったって言ってたな。なんとかっていう専門のところ。名前忘れたけど、たしか「リジェネラボ」みたいな横文字だった気がする。彼女、ずっとスポーツやってて膝を痛めてたんだけど、幹細胞を使った治療を受けたら動きがだいぶ楽になったって。完全にどうこうって話じゃないけど、生活の質が変わったのは確かみたい。
老化防止っていうと、どうしても「アンチエイジング」みたいなキラキラした言葉を連想しちゃうけど、ヒト幹細胞の再生医療って、もっと地味で地道な印象がある。派手な変化を求めるんじゃなくて、ゆっくりと、でも確実に体の機能をサポートしていく。そういう静かなアプローチがなんか好きなんだよね。
実際、肌の再生とか関節の修復とか、応用範囲はけっこう広い。美容分野だけじゃなくて、整形外科とか内科的な領域でも研究が進んでるらしい。細胞レベルで働きかけるから、表面的なケアとは根本的に違うんだと思う。もちろん、まだ発展途上の技術だから、全部が全部うまくいくわけじゃないだろうけど。
で、ここからが面白いんだけど、幹細胞って「自分の細胞」を使う方法と、「他人由来の培養液」を使う方法があるらしい。自分のを使うほうが拒絶反応のリスクは低いけど、採取に手間がかかる。他人由来のやつは手軽だけど、品質管理がめちゃくちゃ重要になってくる。このあたりのバランス感覚が、クリニック選びのポイントになるんだろうな。
朝6時の洗面所。窓から差し込む光が、肌の凹凸をやけに強調する。こういう時間帯って残酷だよね。でも、その光の中で「ああ、これが今の自分なんだな」って受け入れられる瞬間もある。ヒト幹細胞の再生医療は、その「今の自分」をちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、いい方向に持っていってくれるかもしれない技術なんだと思う。
結局のところ、老化を止めるなんて無理な話で。ただ、そのスピードを緩やかにしたり、質を変えたりすることはできるかもしれない。母の手を見るたび思うんだけど、年を重ねるのって悪いことじゃない。ただ、できれば心地よく重ねていきたいよね。
そんなことを考えながら、今日も化粧水をつける。
組織名:合同会社ニクール / 役職名:代表社員 / 執筆者名:蘭義隆