美容クリニックで見積もり出されて固まった話

ヒト幹細胞

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ヒト幹細胞って、最初に聞いたとき正直よくわからなかった。

友人が「最近、肌の調子がめちゃくちゃいいんだよね」って言い出したのが去年の秋口。何か高い化粧品でも買ったのかなと思ったら、「ヒト幹細胞の美容液使ってる」って。へえ、そんなのあるんだ。値段聞いたら目が点になったけど、確かに彼女の肌は以前より明らかにハリが出ていて、毛穴も目立たなくなっていた。気になって自分でも調べてみたら、これが思った以上に奥が深い世界だった。

幹細胞っていうのは、簡単に言えば体の中で色々な細胞に変化できる特別な細胞らしい。で、ヒト由来のものを培養して、そこから抽出した成分を肌に届けることで、細胞レベルでの働きかけが期待できるんだって。美容業界ではもう数年前から注目されていて、化粧品から美容医療まで幅広く使われている。私が調べた範囲では、肌の再生力をサポートする成分が豊富に含まれていて、エイジングケアに関心がある層からの支持が厚いみたい。

で、実際どれくらいお金がかかるのかって話なんだけど。

美容液だけなら1本2万円から5万円くらいが相場。高いっちゃ高いけど、デパコスの美容液も結構するし、そこまで手が届かないわけじゃない。問題はクリニックでの施術。都内の某美容クリニック(名前は伏せるけど、青山にある有名なところ)で話を聞いたとき、ヒト幹細胞培養液を直接注入する治療の見積もりが15万円からって言われて、思わず「え、1回で?」って聞き返した。スタッフの人は慣れた様子で「効果を実感いただくには3回から5回のコースがおすすめです」って。つまり、最低でも50万円近く…。

ちなみに私、学生時代にバイトで貯めたお金を全部つぎ込んで買ったギターがあるんだけど、それが確か12万円だった。当時は清水の舞台から飛び降りる気持ちで買ったのに、今じゃそれより高い美容施術がゴロゴロしてる。時代だなあ。

とはいえ、費用が高いのにはそれなりの理由がある。ヒト幹細胞の培養って技術的にすごく繊細で、品質管理も厳格らしい。安全性を確保するための検査や、医療機関での取り扱いには専門知識が必要だし、そもそも原料の調達から製品化までのコストが相当かかってる。安いものには手を出さない方がいいっていうのは、この分野では特に当てはまる気がする。実際、格安を謳っているところもあるけど、成分濃度が薄かったり、ヒト由来じゃなくて植物由来だったりするケースもあるんだって。

朝の光が差し込む美容クリニックの待合室で、施術の説明を受けながら思ったのは、「これって投資なのかな」ってこと。車や家みたいに形に残るものじゃないし、効果がどれくらい続くかも人によって違う。でも自分の肌に、自分の細胞に働きかけるっていう発想自体は、なんだかすごく現代的で理にかなってる気もする。化粧品で表面をケアするだけじゃなくて、もっと根本から何とかしたいって思う気持ちはよくわかる。

結局、私はまだ施術は受けてない。美容液を一本だけ買って、週に二回くらい使ってる。劇的な変化があるわけじゃないけど、なんとなく肌のキメが整ってきた感じはする。プラセボ効果かもしれないけど…まあ、それでもいいかなって。

費用のことを考えると、やっぱり誰にでも勧められるものじゃない。けど、選択肢として知っておくのは悪くないと思う。

組織名:合同会社ニクール / 役職名:代表社員 / 執筆者名:蘭義隆