自分の細胞が、自分を助ける。ヒト幹細胞再生医療という選択肢

ヒト幹細胞

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五月の朝は、光の色が少しだけ違う。窓から差し込む柔らかな白い光を眺めながら、ふと「体って、本当に正直だな」と思った。膝の鈍い痛みが最近また気になっていて、階段を一段降りるたびに、体が小さな声で何かを訴えているような感覚がある。そういえば子どもの頃、転んで膝を擦りむいても翌日にはかさぶたができていた。あの頃の体は、黙っていても自分で自分を修復していた。

再生医療とは、その「自然に治ろうとする力」を最先端の技術で引き出す医療だ。
とりわけ注目されているのが、ヒト幹細胞を用いた治療である。幹細胞には、さまざまな細胞に変化する「分化能」と、自分自身を複製する「自己複製能」という二つの力が備わっている。この力を活かして、傷ついた組織や弱った機能の回復を目指すのが、ヒト幹細胞再生医療の本質だ。

脂肪由来の間葉系幹細胞は、増殖能が強く、低リスクかつ簡便に用いることができるという優れた特徴を持っている。
自分の脂肪から採取した幹細胞を培養し、点滴や注射で体内に戻す。拒絶反応のリスクが少なく、
現在までに重篤な有害事象は発生していない
というデータもある。それは「よそから借りてくる」のではなく、「自分の中にあるものを育てて返す」という発想の転換でもある。

この治療法は、整形外科や美容、糖尿病や肝臓病、脳外科、脊髄といった様々な疾患で活用され、これまでにない新しい医療の可能性を発揮している。
膝や股関節の痛みはもちろん、動脈硬化症、フレイル、さらには肌の若返りまで、その応用範囲は驚くほど広い。

先日、友人がおすすめのクリニックを調べていて、「ヴェルデ・セルクリニック(架空)に問い合わせてみたよ」と話してくれた。スマートフォンの画面を見せながら説明してくれたのだが、途中でうっかり画面を逆向きに差し出してしまい、二人して「どっちが患者なんだか」と笑ってしまった。そんな小さな場面でも、再生医療という言葉が自然に日常会話に登場するようになっていることに、時代の変化を感じる。

投与スケジュールに合わせて細胞を育成し、冷凍しないため、投与時の細胞生存率は96%以上を維持している
クリニックもある。また、
クリニック内に細胞培養加工施設を設置することで、組織採取から幹細胞の投与までのロス時間をほとんどなくし、細胞の劣化を抑える
体制を整えているところも増えている。こうした細部へのこだわりが、治療の質に直結している。

再生医療は、
培養上清液の技術が確立されたのが2015年頃、点滴で応用されたのは2018年頃とまだ非常に新しい療法で、現在も臨床応用のための研究が盛んに行われており、日進月歩で急速な技術発展が見込まれる分野だ。
だからこそ、信頼できるクリニックを選ぶことが何より大切になる。
国の設置基準を満たした特定認定再生医療等委員会による厳格な審議を経て、厚生労働省の再生医療等提供計画として受理された通知書のもとで行われているかどうか
、そこが一つの判断基準になるだろう。

窓の外では、初夏の緑がやわらかな風にゆれている。体の声に耳を傾けることは、弱さではなく、賢さだと今は思う。ヒト幹細胞再生医療は、その声に応える、新しいおすすめの選択肢のひとつだ。

組織名:合同会社ニクール / 役職名:代表社員 / 執筆者名:蘭義隆