ワクチンでも治療薬でもなく「蘇る」ヒト幹細胞

ヒト幹細胞

ヒト幹細胞が、身体の随所に現れるトラブルに対して「解決策」になる存在としてクローズアップされています。

ヒト幹細胞は、決して治療薬やワクチンのようなものではありません。身体のトラブルが起こる前、つまり元の状態が「蘇る」ように作用していくのです。

ヒト幹細胞による蘇り例!

例として、髪の毛を挙げてみましょう。さまざまな原因から抜け毛となり、薄毛が進行していくケースは多くあります。このメカニズムについて、一概に言うことはできません。

ただ本来髪の毛では成長期から退行期、休止期を経て抜け落ちるというサイクルが繰り返されています。

これがたとえば男性型脱毛症であると成長期の途中にある髪の毛が抜けてしまうといった状況になり、あらたな髪の毛が生えてこないまま抜ける数が多く薄毛になるのです。

この成長サイクルが正常に機能しない理由には、幹細胞が関係しています。

成長サイクルが正常に機能しない理由

髪の毛が成長していく上では、「毛包幹細胞」と呼ばれるヒト幹細胞がその役割を果たしていなければなりません。

サイクルが崩れているということは幹細胞の働きが十分なものではないため、活性化させる必要があります。

ここで成長因子の存在がヒト幹細胞の活性化に不可欠であるため、成長因子を含んでいる幹細胞培養上清液が薄毛に対する再生医療では用いられているのです。

毛包幹細胞が適切に刺激されれば、従来の発毛サイクルが蘇ることになります。この療法において、治療薬やワクチンといった類のものは使用されません。

また、美容サロンでも加齢とともにダメージが蓄積されていく肌に対してヒト幹細胞培養液を用いる施術が行われるようになってきています。

肌に対するヒト幹細胞の役割は、ハリを保ったり保湿したりすることなどです。

ハリが失われる、乾燥するなどの現象が肌に見られるようになる理由として幹細胞の数が年齢を重ねると少なくなっていくことは大きく関係しています。

そこでやはりヒト幹細胞培養液を浸透させることによって、肌の幹細胞が活性化し修復や再生へ向けて働くことになるのです。

もちろん再生医療の分野でも、過去には治療することの難しかった病気へアプローチする上でヒト幹細胞が欠かすことのできないものとなっています。

あくまで幹細胞の力を活かした治療であり、失われてしまった身体の機能についても幹細胞によって神経が再生されれば回復へ至る可能性はあるわけです。

外部から何かを取り込むのではなく、ヒト幹細胞に備わっている力がそれを可能にしています。